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シリーズ:Lunatic Gate ~Sword of Glory~ #プロローグ
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Lunatic Gate ~Sword of Glory~ #プロローグ

作者:神楼

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    走り書き感が半端ない内容ですがご容赦。今回の作品は10年くらい前に書いていた、合同企画ノベルゲームの設定をそのままに、スピンオフ作品として起こしました。
    前回公開した「ダークマスター ~異法師~」から一部繋がっているように見えたり見えなかったりですが、当作品と繋がりのある話ではありません。
    また、ダークマスターは自分のシリーズにおけるスピンオフ扱いなので完全読み切りとして書いています。
    しばらくの間はこの作品で書き続ける予定です。


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    Lunatic Gate ~Sword of Glory~ #プロローグ 13013文字

     

       #Prologue

    ――世界は真実で出来ている
    ――言葉を剣に、意思を身体に
    ――真実は天浄より剣を穿つ
    ――光明は偽りの大地を言葉で燃やし
    ――ただ一つの偽りも認めず、ただ一人の勝者を望み
    ――真実は偽りを調伏する
    ――再臨せよ、目指すべき我が栄光の剣

         ◇ ◇ ◇

    大陸暦266年――ラグナロク大陸北東部を東西に走る虹天山。
    砂利の上り坂をひたすらに駆け抜ける。
    身体は降りしきる雨に打たれ、既に手足は冷えて感覚が無くなっていた。
    息はとっくの昔に切れ切れで、今にも心臓が破裂してしまいそうだ。
    前だけを見てひた走り続けるのは、己の鍛錬のため。
    聖教騎士になること。それだけを目標に今日まで身体を鍛えてきた。
    今日の特訓は特別厳しい試練を己に課した。
    足場も悪く、ただでさえ急な坂の多い虹天山ならば鍛錬に事欠かないだろうと判断しての登頂だったが、雨の追い打ちもあって想像を絶する厳しさだった。
    登頂開始からかれこれ1時間が過ぎている。脚にはもう力が入らなくなり、もはや走っているというよりフラフラと歩いているようだ。
    息が上がって限界を迎えた。身体がわずかにバランスを崩し、足を踏み外す。
    「っ!?」
    右手側は断崖絶壁。身体に力が入らない今の状態では、そこから崖下へ落ちる以外にない。絶望の落下まで一直線だった。
    視界が曇天を一度仰ぎ、次の瞬間には暗転していた。

    意識を取り戻した時、真っ先に思ったのは『自分がなぜ生きているのか』という事実だった。
    次に気付いたのは身体に痛みが全くないということ。
    「まさか俺は死んで……?」
    自分の生死すら定かでない中、しかし五体満足であることを確認して間違いなく生きていることを知る。
    あの崖から落ちてなぜ無事だったのか。
    「……ここは、どこだ?」
    視線の先に広がるのは、虹天山ではとても見られないような景色だった。
    緑が生い茂る野原、その向こうには森林が生い茂っている。
    「虹天山じゃ……ないのか?」
    背後を振り返る。すると、そこには見たこともない大きな屋敷が建っていた。
    自分が通っているユグドラシル学院の分校にも似たような外観だったが、ところどころ色合いも違うし、やはり見覚えはない。
    起き上がって衣服に付いた砂を掃い、屋敷の入り口に歩みを進めた。
    大きく豪奢な作りの扉には、呼び鈴のようなものも付いておらず、軽くノックしてみる。
    沈黙が流れる。屋敷内からの応答はない。それどころか、人の気配すら感じない。
    もう一回、今度は強めにノックしてみる。
    やはり返事はない。留守だろうか。
    恐る恐る扉を引いてみると、鍵はかかっていなかった。
    重く軋みの音を立てて扉が開かれる。その中は陰になっていて薄っすらとしか見えない。
    中に足を踏み入れた瞬間。

       ◇―・□□□■□■□□

    「!?」
    扉を潜り抜けた直後、声のようなものが聞こえた気がして背後を振り返ったが、何者の気配もない。気のせいだったのかと屋敷内に視線を戻そうとしたその時、
    「やあ、よく来たね」
    「!」
    突如声をかけられて、その方に振り返る。
    屋敷の中、視線の先数メートルの距離に、黒いスーツ姿の男が立っているのが見えた。
    見た目には三十歳前後、髪は整えられた黒に、中肉中背。これと言って目立った特徴はない紳士然とした男だった。
    ポケットに両手を突っ込んだ姿勢で、まるで最初からそこに立っていたといった様子だ。
    紳士は、突然の訪問に何の咎めの言葉も漏らさず、それどころかここに自分がやってくることが予め分かっていたかのように、やんわりとした表情でこちらを見つめている。
    その右手が動き、ポケットから抜かれてこちらへ向けて差し出される。
    次ぐ言葉は、
    「君は、世界が欲しくないかね?」
    「……? 世界?」
    そうだ、と紳士は頷いて見せた。
    「少年、君の名を聞かせてもらえるか?」
    名を尋ねられ、一瞬答えて良いかどうか迷ってから、おずおずと口を開いた。
    「……聖夜」
    「ふむ、君は十二歳にしてはとても利口な子供だね。相手を疑うことを知っている」
    紳士の言葉に、「え?」と聖夜は疑問の声を漏らす。
    なぜ自分の年齢をこの紳士は知っているのか。
    思うが早いか、紳士がクスッと笑った。
    「不思議かね? 君がここに来ることは知っていたよ」
    知っていた? と紳士の言葉を反芻し、その言葉の意味するところを考える。
    「あなたは一体……」
    「名は無い、いや……忘れてしまったと言ったほうがいいかな。だが名乗らぬのも無礼というものか」
    要領を得ない言葉の後、紳士は姿勢を正し、改めて口を開いた。
    「『奇術師』、『黒の商人』、『錬金術師』……様々な呼ばれ方をしているが、私をよく知る者達は私のことをこう呼ぶ。『ダークマスター』と」
    ダークマスター。そう名乗った紳士は微動だにせず、こちらの反応を窺っているようだった。
    名前、と呼んでいいのかどうか聖夜にはよく分からなかったが、向こうに敵意は無いらしい。
    こちらのそんな心理を知ってか知らずか、ダークマスターが口を開いた。
    「君がここへやってきたのは、君自身の意思でないことは分かっている」
    「あの、ここは……さっきまで俺は虹天山にいたはずで」
    「ああ、足を踏み外して崖下に転落したね」
    話の先をダークマスターが口にしたことで、自分が体験したことが夢などでは無いことが確実になった。ならば尚のこと、なぜ自分が助かったのかがわからなくなる。
    「君をここへ寄越したのは『聖女』の導きによるものだろう。こんなことができるのは『彼女』をおいて他にいない」
    つまり、
    「私の元へ君を送ってきたということは、君が望むものを施せと言っているのだよ、『彼女』は」
    「その人は――」
    誰だ、と訊こうとしたが、言葉が続くより早くダークマスターが制止した。
    「そこから先は君が知る必要はない情報だ。そして君に今必要なものは『力』などではない」
    それは、
    「『世界』だ」
    「世界……? 俺は世界なんて別に――」
    「君だけの『世界』は、君にしか創れない。『世界』はあらゆる力さえも超越する。なぜなら力だけで『世界』は創造できず、支配もできないからだ」
    ダークマスターはこちらに向けて手を差し出して来る。まるでダンスの相手を誘うように。
    彼の掌の上、よく見れば薄ぼんやりと淡い光が灯っている。形があるものなのかどうかは定かでない。
    「さあ、受け取りたまえ。そして見せてほしい、君の『世界』と『可能性』を」
    断るなどという選択は、浮かばなかった。
    差し出された掌に、己の掌を重ねる。光は程なくして消え、屋敷内に沈黙が訪れる。
    「……」
    自分の身体に何の変化も現れていないことに疑問を持ったが、目の前のダークマスターがこちらの意を察して笑った。
    「ふふっ、使い方は自ずとわかっていくだろう。あとは時間をかけて創り上げて行くだけだ。特別なことをする必要はない」
    言い置いて、今度はこちらを指さした。否、正しくはこちらの背後をだ。
    「帰りたまえ、君が元いた場所に。君だけの未来が待っている」
    話は終わったとばかり、それ以上言葉を発することもなくダークマスターはこちらの背後を指さしたままだ。
    踵を返して扉に向き直ると、まるでこちらが帰ることが分かっているかのように、音もなく扉が勝手に開いた。扉の外は眩い光に包まれていて、外の景色も見えない。
    導かれるままに、聖夜は外へ向けて歩き出した。
    屋敷に入った時とは真逆で、真っ白な光に包まれた視界に、どこか懐かしい香りがよぎった気がした。
    視界が開けると、そこは見覚えのある場所だった。
    遠くに見える特徴的な色の屋根は、ユグドラシル学院のそれで、自分のすぐ右手に見える門扉は、
    「学生寮……戻ってきたのか?」
    呆気にとられた様子で呟いた聖夜は、寮長に見つかるまでそこに立ち尽くしていた。

    聖夜を見送ったのち、ダークマスターは扉が閉まるのを確認してから肩の力を抜いた。
    「やれやれ、子供とは言え男の相手をするのはやはり気が滅入る」
    クルリと背後を振り返ると、そこには凄惨な光景が広がっていた。
    つい先ほど、自らの命を狙ってやってきた剣士を始末したばかりだ。
    床は血の池。更には始末したばかりの『残骸』が転がっている。
    この屋敷のメイドとして置いているアイリが掃除用具一式を取りに行っているが、自分のしでかした不始末に他ならないので少し片づけておくべきか。

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    • 神楼
    • 作品投稿数:4  累計獲得星数:1
    • 本業が忙しくてもつらつらと時間見つけて執筆中
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