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シリーズ:ダークマスター -異法師- (プレリュード版)

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  • ダークマスター -異法師- (プレリュード版)

    作者:神楼

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    初めての方ははじめまして。約8年ぶりに筆をとります。10年以上前に企画していたシリーズのプロットを元に、お試し版程度の作品を投稿させていただきます。(本来の作品本編とは関係ありません)
    久しぶりすぎて小説の書き方も忘れてしまいました。しばらくリハビリで短編でも書いてみようかと思います。
    ※これ以外にもいくつか投稿可能な作品があったのですが、PCを新調した関係で、原稿が残っていた古いPCが起動できなくなっており、原稿が紛失してしまいました。



    ダークマスター -異法師- (プレリュード版) 6531文字

     

       #Prelude

       CORE−XXX ◇−・NO SIGNAL

    「ひとつ、おとぎ話をしよう」
    響いた男の声に、剣士は眉をひそめた。
    「宇宙の彼方でもない渡って行けぬ場所に、この世界とは異なる無数の世界が存在していた」
    豪奢な屋敷を思わせるロビー。正面に見えるは、巨大で左右に伸びる階段。
    声の主はその右手側から、ゆっくりとした歩みで一段一段降りてくる。
    「神々からも見放されたその世界には、原初より生命も繁栄せず、やがて打ち捨てられ忘れ去られてしまった。支配者も存在せぬまま、そこに宿った力を置き去りにして」
    男は両手をズボンのポケットに入れたまま、独り言のように話を続けた。
    「不完全なまま終わりを迎えたそれぞれの世界には、異質な『概念』が物理法則を捻じ曲げて存在していた。ゆえにそれぞれの世界には使い方一つで脅威にもなる力が眠っていたわけだ。ただそれを使う者がそこにいなかっただけの話」
    そう、と男は間を置き、
    「世界には、その世界しか持ちえない物理法則が存在している」
    黒いスーツに身を包んだその男は、階段の踊り場まで辿り着くと、そこからこちらを見下ろすように立ち止まった。
    「『異法』とは、その世界が持つ特殊な物理法則を、法則の異なる世界下で行使する技法だ。君達の知る『魔法』などとはわけが違う」
    男の口端が、ニヤリと吊り上がるのを剣士は見た。
    「即ち、行使される異法は全て……かつては存在し、滅びた世界そのものだということだ」
    さて、と男は一言を置き、
    「このところ、『ここ』は立て続けに色々な客人が訪れるものでね。なるほど、今回は『後者』というわけか」
    男はこちらが何も言葉を発していないにもかかわらず、まるで見てきたと言わんばかりにこちらの来訪目的を結論付けたようだった。
    剣士がこの屋敷を訪れた目的はただ一つ。視線の先にいる男を討ち取ることだ。
    まるでこちらのすべてを見透かしたように、男が口を開く。
    「ああ、そうだった。君にとってこれから起こる事象であっても、私にとっては既に通り過ぎた記録だ。既知の情報だとつい説明を省略してしまうのは性分でね」
    フ、と鼻で一つ笑って男は続ける。
    「『ここ』にやってくる者は大別して二つある。一つは何の因果か迷い込んだ者」
    もう一つは、と一度区切りをつけ、こちらを指さしながら、
    「君のように依頼され、または自らの力で私の命を狙いにくる者だ」
    「!」
    ここにきて初めて、剣を握る手に力が篭る。
    今までの男の狂言めいた話に、はったりや戯言の類を感じていたが、そうではなかった。
    目の前にいる男は間違いなく、こちらの目的の何もかもを把握しているのだと、改めて理解した。異質を通り越して異常。
    今回の依頼を寄越して来た主は胡散臭いやつだったが、情報に偽りはなかったようだ。
    だとすれば得物を剣と盾に絞ったのは正解だったか。
    依頼主の話では、銃の類も魔法でさえも奴には効かないらしい。
    ならば物理的かつ原始的な手段に頼る以外に無い。
    と、こちらが思案を巡らせている内に、男が言葉を継ぐ。
    「誰からの依頼か、などと下らないことを訊くつもりはない。私が突き付ける選択肢は二つに一つ。『去る』か『果てる』かだ」
    そんな問いかけ、答えるまでもないことだ。
    この屋敷に立ち入った時点で、もはや覚悟は決めている。
    こちらが何か言葉を発するより先に、男はポケットに突っ込んでいた右手を抜いて体の横に垂らす。
    「とは言うものの、貴様の結末は既に決まっている」
    男が右手の指を一つ鳴らした瞬間だ。
    ――――――!!!
    「!?」
    甲高い金属音一つ。
    左腕が千切れるのではないか、と思えるような衝撃が左半身を駆け抜けた。
    グワングワンと重い音を立て、背後で今まで自らが持っていた、金属製の盾が転がっているところだけが見えた。
    「――っは……」
    止まりかけていた緊張の息を吐き出す。
    何が起きたのか、頭が理解できなかった。
    何かが自分の持っていた盾に直撃した。その衝撃があまりにも強すぎて、左腕ごと持って行かれそうになったが、盾を手放したことでそれだけが吹き飛んだのだ。
    全く見えなかった。発射される弾丸の類も、飛来する物体も、着弾の瞬間さえもインパクト以外は何も知覚できなかった。
    剣士は正面の男に視線を戻す。
    男は未だ踊り場に屹立したまま、腕も右手を垂らした格好のまま、動いていない。
    屋敷のどこかに大砲の類でも隠されているのか、だとするなら発射音があったはずだが、そんな音も聞いていない。
    何より、背後に見える転がった盾の先――この屋敷の入り口である木製の大扉には通り抜けた筈であろう弾丸の痕跡どころか傷一つ付いていない。
    「拾わないのかね? それくらいの猶予は与えるつもりだが」
    盾のことを言っているのだと気づくのに、僅かばかりの時間を要した。
    剣士は背後の盾をもう一度振り返るが、
    「もっとも、『それ』では盾の役割は果たせぬだろうけどね」
    男の言葉が言う通り、背後に転がっている盾の下側半分が、丸い物体によってえぐり取られたような状態になっていた。
    剣士はそこで悟った。いくら頑丈な盾を持っていようと、今の一撃の前には何の意味もなさないと。
    相手がわざと狙いを外して盾を飛ばしたのも、牽制のつもりだろう。やろうと思えばこちらの頭を吹っ飛ばしていたに違いない。
    全身から嫌な汗が噴き出して来た。残された武器は剣一本。これだけで先の謎の攻撃を前に、勝ち目があるとは到底思えなかった。
    否、勝ち目も何も無い。相手とは次元が違いすぎる。
    「今のは『異法典』の一つ。物体の発射点と着弾点の座標を同期させる概念だ。簡単に言えば物体をゼロ距離射撃できる力ということになる」
    訊いてもいないことを男が淡々と説明するが、何を言っているのか全く理解できない。現状からどうやって脱するか、思案を巡らせることもうまくできないでいる。
    「便宜上、私はこれを『ストライク・シャフト』と呼んでいる。扱いやすい上に『対価』も軽い。残念なことに発射できる物体が限定されてしまうのが難点だが」
    さて、
    「命を投げ出す覚悟はできたかね?」
    処刑の時間がやってきた。男の言葉に待ったは無い。
    思うが早いか、剣士は口を開き、喉が張り裂けんばかりに声を挙げた。
    「ぁ――――――!!!」
    賽は投げられた、否――この屋敷に足を踏み入れた時点でとっくに投げていたのだ。
    剣を構え、剣士はただ全力を振り絞って疾駆を開始する。
    一歩目から全力による突進だった。
    前方、頭上へ向かう階段へと到達する。男からの迎撃は来ない。
    一足、二足と数段を飛ばしながら駆け上がる。
    見上げる視線の先では、男がただこちらが駆け上がってくるのを、余裕の表情で待っているだけだった。
    行ける、と確信する。剣の間合いに入ってしまえば、男を捉えたも同然だ。
    あと五段。二段。男の眼前に到達する。
    狙いを男の首に絞り横一閃――その直後。
    「!?」
    剣は空を切っていた。
    今の今までそこにいたはずの男の姿はかき消え、踊り場に立っているのは自分一人だと認識する。
    一体どこへ消えたのか、視線が横へ流れようとした直後。
    「そんなところで何をしているのかね」
    背後から響いてきた声に、驚愕した表情を顔に張り付けて振り返る。
    先ほどまで自分が立っていたであろう階段の下に、微動だにしていないと言わんばかりの同じ姿勢で、男は立っていた。
    「な――」
    「今のは瞬間転移でも高速移動でもない。ただ歩いて階段を下りただけに過ぎない。自然に、ゆっくりとね」
    男の言葉は、こちらの問いかけを先読みしての回答だった。まるきり頭の中を読まれているかのような錯覚にとらわれる。
    「私にとって、周りの動きは全て停滞しているに過ぎない。動いたところでそれはコマ落としの一枚。剣が私を捉える直前であっても、移動して躱すことなどわけない」
    そこで男は、はあ、と初めてため息をついて見せた。続く一言は、
    「――児戯だな」
    言葉の意味するところ、それは侮蔑以外の何ものでもなかった。
    途端に込み上げてきた怒りに、剣を握る手がブルブルと震えている。
    男はそれを知ってか知らずか、こちらが行動に移るより先に言葉を放って来た。
    「私が貴様より先に言葉を発している理由がわかるかね? 男と会話することに興味がないからだ。こうしてわざわざ始末する時間を引き延ばすのも本意ではない」

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    作者紹介

    • 神楼
    • 作品投稿数:2  累計獲得星数:1
    • 本業が忙しくてもつらつらと時間見つけて執筆中
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