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シリーズ:かき揚げ丼 フロンティア
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かき揚げ丼 フロンティア

作者:リューガ

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    かき揚げ丼経口による魔法発生および異星スイッチアヘの転移事件

     かつての宇宙戦争での遺恨を捨てず、惑星スイッチアを襲う宇宙帝国の残党。
     それに対抗するため、スイッチア人は日本にある魔術学園高等部から、生徒総会役員を召喚した。
     そんな世界に突如トリップしてしまった青年、南 士郎。
     トリップした際に得た新たな能力は、書き上げ。
     全てを、魔法陣や未来の歴史さえ書き上げる能力!

     だが果たして、その能力は幸運だったのか?


     なろう作家の宮沢弘さんが主催されているSciFi杯というSF小説コンテストに投稿しました!
     がんばりました!


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    かき揚げ丼 フロンティア 17144文字

     

    かき揚げ丼
     かき揚げとは、野菜や魚介類を細かく切った具を、小麦粉の衣でまとめ、食用油で揚げた物。
     具を“かき”集め、“揚げる”ことからこう呼ばれる。
     日本料理の天ぷらの一種。
     かき揚げ丼は、かき揚げを飯の上に置き、つゆで味付けした物。

    「……さん。南 士郎さん。よろしいですか? 」
     目の前の女性が、かき揚げ丼について説明しているようだ。
     僕は呆然としていた脳を何とか回転させ、頷いた。

     すごい美女だ。
     ショートボブにした茶色い髪は、染めた感じはしない。地毛なのだろう。
     大人びた切れ長の目には輝く黒曜石のきらめき。
     紺色のブレザー。白シャツに緑のスカーフ、紺の字にチェックの入ったスカート。
     穢れのない白い肌は、女子高校生の制服と合わさって、清らかな雰囲気をただよわせている。

     でも、どう見ても20代前半のお嬢様みたいな雰囲気だ。
     名前の後には必ず“さん”をつけよう。

     奇妙なことに、その顔には木でできた仮面をかぶっている。
     皮膚と木の間には、凹凸が全く見られない。
     左腕も、同じ柔らかなクリーム色の木材で作られている。
     義手なのだろうか。
     しかし、普通の人間の手のようにタブレットをつかんでいる。
     さらに奇妙なことに、背中からは羽が生えていた。
     その姿は、まるで天使だ。
     その羽も木製だった。

     奇妙な点と言えば、制服の胸にガムテープが張ってある。
     それに黒マジックでレミュール・ソルヴィムと書いてある。
     手作りの名札だ。

     僕は不思議な場所にいる。
     床は金属製。
     それが直径50メートルほどの円形に広がっている。
     壁も円形で、前後左右と上に向いた窓がある。
     立派な展望席だが、使っているのは僕たち3人だけだ。
     だが、窓から見えるのは灰色の煙。
     とても濃く、1メートル先も見えない。

     レミュールさんは、医者のように説明を続ける。
    「脳には血液脳関門という、血液と脳の間にあり、血液からの有害物質を防ぐ門があります。
     ですが、この門をすり抜けて脳までたどり着く物質もあります。
     アルコール、カフェイン、ニコチン、抗うつ剤などです。
     あなたの場合は、夕食で飲んだ酒のアルコールと、夜中に眠気覚ましとして飲んだコーヒーのカフェインでしょう」
     緊張を感じさせない。
     本物の医者の様だ。
    「アルコールにしろ、カフェインにしろ、普通の人間なら数時間で分解されててしまいます。
     ですが、異能力者の中にはこれらの物質を、脳の中でエネルギーに変換する人もいます」

     僕には、ちんぷんかんぷんだ。
     何か、重要な事を聞き逃している気もする。

    「あの……」
     その時、声をかけてくる女性がいた。
     短く刈り込んだ金色の髪。
     身長は140センチほど。
     しかし体は大変鍛えられ、筋肉質。
     黒いワークキャップ。
     ひたいの部分には白い刺繍で、広がる2枚の翼が。
     黒いスーツとスラックス。
     デザインが違うが、これも制服のようだ。
     どこかの軍隊を思わせる。
     胸には同じような名札を付けている。
     サフラ・ジャマルとあった。
    「異能力者について、もっと基本的なところから教えた方がいいと思います」
     その目には、僕への強い共感があった。
     
    「失礼しました」
     レミュールさんは初めてしまった!と表情に浮かべ、謝った。
    「異能力者とは、最もプレーンな物理では、起こらない現象を意図的に起せる人間のことです。
     あなたの世界にも概念は伝わってませんか? 超能力とか、魔法とか」
     
     それなら、わかります。

    「そうですか。では、話をつづけます。
     今言ったように、あなたの脳には、アルコールやカフェインを異能力に変える能力があります。
     ですが、このようなことが起こったのは、今回が初めてだそうですね? 」

     ……はい。

    「脳内の機能は、その時々の環境で、――熱さや寒さ、宇宙からの重力や星の並び――などで大分変わります。
     また、エネルギーだけあっても、それを特定の方向へ向けなければ何にもならない。
     その方向性を向けさせたのが、かき揚げ丼だと私は考えています」
     そして、タブレットを一度読み、話を続ける。
    「あなたはアマチュア小説家だそうですね。そして、作品を書き上げるおまじないとして、かき揚げ丼をよく食べていた。
     “書き上げ“と”かき揚げ“。このダジャレにより、普段繋がらない脳細胞が繋がった。そこに異能力エネルギーが流れ――」

    「待ってください。ちょっと記憶を整理させて……」
     ここは惑星スイッチア。
     惑星全体が宇宙戦争により荒廃して、ほぼ半世紀たった地球型惑星。
     サフラ・ジャマルさんはそこの惑星国家、チェルピェーニェ共和国連邦。略してチェ連の空軍に士官候補生で……。

     気が付くと、僕はタブレットをひったくっていた。
    「あっ! 」
     レミュールさんの手が大きく弾かれ、叫びを上げた。
    「レミュールさんに何を! 」
     サフラさんも叫ぶ。

     それらを無理やり意識の外へ押しやり、僕はタブレットを凝視……しようとした。
     だが、タブレットは、厚さ2センチほどのプラスチックと細かい金属の加工品は、僕の指の圧力に負け、粉々に砕け散った。
     ……何の圧力も感じなかった。

    「レミュール! 」
     横から声をかけられた。

     声をかけたのは、身長2メートルはある大男。
     着ているのは紺色のブレザーに白いシャツと青いネクタイ。ブレザーと同じ色のズボン。
     レミュールさんと同じ学校の制服だ。
     胸の名札にはオルバイファスとある。

     だがその容姿は、高校生には見えない。
     30代半ば、男盛りの大人と言っても通用しそうだ。
     目には、どっしり構えた勇気と怒りが感じられる。
     僕には恐怖に変換される……。

    「わたしは大丈夫です……」
     そう言ってレミュールさんは手を見せた。
     その木でできた手には傷一つなかった。

     様子を見て、オルバイファスさんは安心したようだ。
     そして僕に向き直り。
    「ちょっと待ってろ」
     そう言って壁に向かった。
     そして、はめ込まれたキーボードを操作する。
     すると天井が、風船を膨らませるように広がり始めた。
     同時に、床がエレベーターとなって下がり始めた。
     壁のふちに床が輪っかとなって残り、内側からは柵が現れる。
     エレベーターは、たっぷり10メートルは下がって止まった。
     現れた壁も、きれいな木の板張りだった。

    「これから変身する。離れてろ」
     これを聞いて、僕とレミュールさんは素直に従った。
     エレベーターの中心にオルバイファスさんだけが残る。
     彼の体から、光が放たれた。
     光は、数百のピストルを乱射したような音と共に、直径10メートルはあるドーム状に変わる。
     そして、まるでシャボン玉のように割れた。
     中から現れたのは、巨大な黒い巨人だ。
     巨人が機械音と共に立ち上がる。
     たくましい男性の姿をした、金属の集合体。
     身長20メートルはある巨大ロボット。
     それがオルバイファスさんの正体。

     その右腕も人間そっくり。
     と思ったら、手が腕に取り込まれた。
     そして、巨大な筒が飛び出した!
     明らかに大砲だ!
     彼は、左手で大砲の機関部らしき場所をいじりだした。
     ガコン! と、重い金属音と共に、なにか細長い、と言っても太さ60センチはあるものを取り出した。
    『これを折ってみろ』
     先ほどより大きく、低くよく響く声。
     そして差し出された物は、明らかに大砲の玉だった!!
    『レールガンだ。火薬の類は入っていない。安心して折れ』
     へえ。
     レールガンとは、2本の平行に並んだ導線に、弾丸を挟み込み、そこに電流を流すことで弾丸を発射する銃だね。
     確かにそれなら発射に火薬はいらない――。
    『早く折れ』
     その一言で、僕は内臓をわしづかみされたような恐怖に襲われた。
     次の瞬間、バキバキッっと派手な音を立てて、砲弾は砕け散った。
    『どうやら、興奮状態になると力を発揮するようだな。
     それはタングステン製の徹甲弾だ』
     それって、戦車の最も分厚い装甲も貫けますか?
    『よく知ってるな。その力を、もっと自覚しろ』 

     僕が叫んだり、ひっくり返ったりせずに済んだのは、こういう驚きが他のメンバーのも合わせると何度目かになるからだ。

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    コメント

    作者紹介

    • リューガ
    • 作品投稿数:36  累計獲得星数:3
    • ドラえもんやサザエさんなど、長寿漫画には強さがあると思います。
      たとえばサザエさんは、戦後間もないころの今よりもっと治安が悪い時代に連載が始まりました。
      喰うに困った帰還兵が泥棒になったり、そんな時代です。
      ある日内に波平さんが一人でいたとき、二人組の泥棒に入られます。
      しかし波平さんはそんな二人に茶を出し、昏々と説教して、ついにお小遣いまで上げてしまう。
      こういう、敵対しなくていいものには敵対しない。 そういう立場を貫ける人こそ、自分の意志で立つ人なんじゃないでしょうか。
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