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シリーズ:レイドリフト・ドラゴンメイド
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レイドリフト・ドラゴンメイド 第27話 この宇宙域

作者:リューガ

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    レイドリフト・ドラゴンメイド 第27話 この宇宙域 6759文字

     

    「テレジ・イワノフ。20歳。出身地はロシア、その首都モスクワ」
     カーリタースが語りだした。

     達美専用車は、乗客を一部入れ替中。
     持ち主のドラゴンメイドと、カーリタース、シエロはそのまま。
     新たに座るのはサフラ、ワシリー、ウルジンの3人。
     以前の客は後部ドアの向こうで待っている。
     
    「能力は、これまで自分で狩った動物を、実態を持つ幻影として操ること。
     幻影はそれぞれ、聞く、視るなどの感覚を持ち、テレジはそれを感じることができる」

    ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

     立体映像の中では、その幻影が防衛隊を襲っている。
     建物からは隊員を、オオワシのカギヅメががっちりとつかみ、大きなはばたきで引きずりだす。
     地面では、小さなリスやヤマネコが派手に駆け回って気を引く。
     そのすきに木の上からトラが飛びかかった。

     当然、防衛隊も黙ってはいない。
     ボルボロス小銃もバルケイダニウム・クラッシャーも、次々に幻影に当たると、打ち砕いていく。
     幻影は黒煙のように変わり、そのまま風に流されるかと見えた。
     だが、煙になった幻影は、瞬時に元の姿を取り戻す。そして再び襲いかかる。

    『能力者だ! 能力者を狙え! 』
     当然、幻影の源を狙おうとする。
     そんなことはテレジには当たり前だ。
     幻影たちの目で敵の死角を悟り、攻撃を手前でよけながら駆け抜ける。

     防衛隊が陣地とする家屋に手榴弾を投げ込む。
     2階に投げ込まれたそれは腐った床を叩き落とし、1階に隠れていた防衛隊を押し倒した。
     射撃も正確だ。銃に取り付けられた大型スコープと赤外線暗視装置で、壁に隠れた敵さえ無力化していく。
     当然、死者はいない。
     それでも、痛々しい。

    ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

    「ねえ、テレジは幻影の感触を感じられるのよね。という事は、痛覚も? 」
     サフラが、青い顔で聴いた。
     カーリタースも、彼女と同じ顔で答える。
    「当然、感じています。テレジは、痛みをわざと感じて、それになれることで戦えるようになる。と言っていました」

    ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

     防衛隊は次々に捕まってゆく。
     そして道路上に集められる。そこで、狼の群れに囲まれるのだ。

     それでも、獣の力をよけきるエキスパートはいた。
     宇宙からチェ連に鹵獲された、人型ロボット、アンドロイドだ。
     黒い金属の手足がサーボモーターの低いうなり音を上げる。
     ヒグマの幻影は、本物と同じ体長2メートル、320キログラムもある。
     それでも合気道のように投げ飛ばされた。

     そのアンドロイドに、テレジが立ちふさがった。
     弾倉を奪われないよう、左手でしっかりつかんでいる。右手はグリップを。
     さっそく頭部に3発撃ち込んだ。
     だがアンドロイドは頭を振っただけで、問題なく殴りかかってきた。
     テレジは格闘技の棒術のように、銃のハンドガードと肩当を叩きつけ、迫る拳を弾きとばす。
     両手が広がり、隙ができた。
     戻ってくれば骨も砕きかねない鉄の拳。
     それにも構わず、テレジは踏み込んだ。
     そして、装甲の隙間、首に銃口を叩き込んだ。
     ダダダッ ダダダッ と銃弾が首を構成するアクチュエーターとコードを貫いた。
     そのまま銃をてこにして、機械の頭を背中に追いやる。
     だがそれでアンドロイドの機能が止まるわけがない。
     その両腕はテレジのいるはずの正面を激しく打った。
     その前に、テレジは装甲の隙間を足掛かりに、アンドロイドの肩に上る。
     狙いは、首の無くなったところに開いた胴体への大きな隙間。
     そこへ銃口を突っ込み、再び撃つ。
     アンドロイドが全身の隙間から火花を散らして、倒れ伏した。
     テレジは銃口を引き、余裕で着地。
     そして、周囲を見渡す。その顔は、実に満足そうだ。

    ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

    「ドラゴンスレイヤー。
     巨大な異能力を持つ生物の中でも、最強と呼ばれるドラゴン。
     それを狩ることにより、その力を取り込んだ人間の事だ」

    ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

     道路を爆走する武装トラック。
     そのフロントにはH鋼材の槍が並んでいる。
     進行方向にはオオカミの群れに囲まれた防衛隊員がいたが、それにも構う様子はない。

     狼たちが隊員に吠え、ときには押しだして避難させる。
     へたり込んだままの者には、噛みついてでも引きずっていく。

     オルバイファスが車体を揺らすと、突起に刺さったままの装甲バスがくずれおちた。
     無限軌道で路面を削りながら、迫りくるトラックに向かう。

     だが、それをテレジが手で止めた。トラックに向いたまま。
     すると頭上に、新たな幻影が現れた。
     2枚の蝙蝠のような羽と、4本の足を持つ、ほっそりとしたトカゲのような生き物。
     サイガよりはるかに小さいが、ドラゴンだ。
     鱗は白く、全長は1メートルほど。
     そのドラゴンは、テレジの肩に止まった。
     リラックスし、女の肩から垂れさがる羽。その羽がストールのように見える。

     ドラゴンが首を上げ、小さな口が開いた。
     そこから、真っ黒な、得体のしれない気体が、暴風の勢いをもって吐き出された!

     前には、彼らを轢き殺さんと迫る武装トラック。
     だが車は、ドラゴンとテレジに触れる事はなかった。

     気体が生き物のようにトラックに巻きつく。触れると同時に、装甲が崩れ落ちた。
     タイヤが、すべてシャフトごと脱落する。
     ガラクタとなった車は、徐々に茶色く、さらに細かくなっていく。
     装甲車は瞬く間に土くれに変わった。
     その上で、乗組員たちが滑っていく。
     最後は、困惑した表情で、テレジの前に座った。

    ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

    「12歳から17歳までロシア軍直属のカテットと呼ばれる全寮制学校にいた。
     成績は優秀。
     だが、それによって得られるのが戦争だけだと、未来に絶望する」

    ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

     画面に変化が起こった。
     連続するけたたましいモーター音。ぶつかる鉄の音。
     それと同時に、映像を映すカメラの位置が、徐々に上がっていく。
     下で黒い装甲が分離し、それが手足に変形していく。

     オルバイファスの人型形態。
     身長25メートルの黒い巨神。

    『おーいオルバ。肩車してもらえば? 』
     足もとから、テレジが声をかけた。
     近くには、身長50メートルの青鬼ディミーチや、同じくらいの大きさのカマキリのようなカーマがいる。
    『踏むぞ! 』
     オルバイファスが怒鳴った。
     それでも、2人の視線は同じものを見ている。

     オルバイファスの背中で、ほぼ形を保っていた砲塔。
     そこから延びた2門の主砲が、脇下から視線の先に向けられた。
     
     先にあったのは、宇宙戦艦が放つバリアの列。
     だが、もともと壊れかけだったため、天上人の金色の嵐を受け、今にも消えそうな様子で揺らめいている。

     バリアの隙間で、金の台風がさらに光を増す。
    『! まずい! スーパーディスパイズを狙う気だ! 』
     光の正体は猛烈な、自然界ではありえないほどの雷だ。
     それをコントロールする電磁波を、オルバイファスのセンサーは捉えていた。
     そして結論付けた。
     巨大な雷が、ポルタに集中して動けない灰色の巨神を狙っている。
     
     彼の主砲が熱を帯び、雨を蒸発させる。
     目には見えないが、放たれたのは2本のレーザー。
     レーザーは雷とスーパーディスパイズの間で交差し、交差点の空気をイオン化する。
     その交差点を地面まですばやく往復させる。
    『目と耳を閉じていろ! 』

     天上人の雷が発射された。
     肌を打つ衝撃と、轟音、目をつぶさんばかりの光をともなって。
     しかし、オルバイファスが作ったレーザーの交差点で、すべて地面に落ちた。
     イオンは電気を通す。彼が作ったのは巨大な避雷針だった。

     そのバリアの隙間に、サイガの蒼い煌めきがやって来た。

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    コメント

    作者紹介

    • リューガ
    • 作品投稿数:36  累計獲得星数:3
    • ドラえもんやサザエさんなど、長寿漫画には強さがあると思います。
      たとえばサザエさんは、戦後間もないころの今よりもっと治安が悪い時代に連載が始まりました。
      喰うに困った帰還兵が泥棒になったり、そんな時代です。
      ある日内に波平さんが一人でいたとき、二人組の泥棒に入られます。
      しかし波平さんはそんな二人に茶を出し、昏々と説教して、ついにお小遣いまで上げてしまう。
      こういう、敵対しなくていいものには敵対しない。 そういう立場を貫ける人こそ、自分の意志で立つ人なんじゃないでしょうか。
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