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シリーズ:はなればなれ
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はなればなれ

作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    昼間の検察官


    登録ユーザー星:3 だれでも星:0 閲覧数:401

    はなればなれ 4212文字

     

     これからお話する事件は、残酷な内容を含みます。
    そのような表現が苦手な方は、ご注意を願います。

     *******************

     さて、現在から二百年余り前の、山深い小さな村。
    具体的な場所を記す事は出来かねますが、西日本の、
    N県とW県に程近い場所で、記録によれば家屋の程、
    四十二軒、村の人口は百六十一人とされています。

     これといった特産品は無く、柴や薪などが大体の、
    村人の収入源でしたが、他に品種が現在では不明な、
    薬草とだけ記された、採取品が特別な収入源の様で、
    にも関わらず詳細は無く、煎じた薬か、草花のまま
    薬種製造業者と取引があったのか、不明です。

     気になるのは、村自体は山の中にあったのが後に
    山から出て少し麓へ下りた場所へ、転居しており、
    色々と利便性の問題もあったのでしょうが。

     たった一軒だけを残し、村は麓へ移動しています。

     いつ頃からなのかは判りませんが、村人は山には
    入らずに、一軒だけが山中に残って薬草を採取する、
    村からは離れ離れになっているような、家に任せて
    その家が集めた薬草を買い取る仕組みが出来たとか。

     その村から離れた山の家は、四人家族でしたが、
    麓の村の方には、伯父さんが移り住んでいました。
    年老いた母親と子供が三人。父親は消息不明で、
    特に記録にも残っていません。

     母親と長女、長男、次男の名が記録され、詳しい
    事はよく解りません。長女だけ年齢が三十三とあり、
    他に次女がいたようですが、隣村へ嫁いだようです。

     この薬草集めの家族は、村と少し離れていました
    しかし、伯父さんの面倒見もよく、村の庄屋さんも、
    気遣って懇意にしていた様子が記されています。

     村の人々と疎遠だったわけでもなく、その一家も
    麓の人と会えば、和やかに談笑していたようです。
    又、親子の仲の良さは、村の誰もが知っていました。
    姉弟の仲は当然、母親に対する孝行も感心だとか。

     梅雨前後の事。午前中に事件が起こりました。

     突然、次男が長男に母親を殺害を命じました。
    斧で頭部を一撃され即死。そのまま、遺体を細かく
    解体して整理しておく作業が姉と兄によって行われ
    夕方には原型を留めない程。そうして事件は終了。

     細かく分解された肉片は賽の目に、統一されて、
    髪の毛も、一寸無い程度に切り揃えられて、骨は
    別に頭蓋骨から足先まで、順序良く並べられて、
    臓腑だけ、土間に一まとめにされました。

     次男は姉と共に、里の伯父の家に事の次第を報せ
    すぐさま同心のお役人が駆けつけて、姉弟の三人は
    捕縛されました。抵抗する事も無く取り調べにも、
    素直に応じた様子です。何が起きたのでしょうか。

     その時の事情聴取の証言記録が残っています。 


     親族の伯父の証言。

    「夕方過ぎに姪、つまり長女と次男が訪れましたが、
    血に染まった着物だけでなく挙動から、眼球の痙攣、
    判然としない言葉に、一大事があったと思ったので、
    家に入れ話が出来る頃合まで落ち着かせてから、
    その惨状を聞き知って愕然とし、直ぐに山中の家へ
    確認に向いました。

     家には長男が呆けたように、見張り役という事も
    全くない様子で戸口を開け放ち、血塗れのままで、
    座っていました。中の惨状は血と肉の塊で見るにも
    耐えない有様で、長男もすぐに私の家に連れ三人が
    正気になるのを待ってから、庄屋様へ報せまして、
    ご領主様へ訴え出た次第で御座います。」


     次男の証言。

    「昼前になって、ふと夢心地の様な気持ちになり、
    私は偉い長者様になった気がしましたので、母親と
    姉と兄へ、私を拝むよう命じました。兄と姉は私の
    夢心地が伝わった様で、土間に下りて犬の真似をし
    這い回っていました。それを見て母は何か怯えて、
    しきりに平伏していました。

     三人の様子をみて、これは畜生道に落ちたかと。
    そう思い、兄、姉の憑き物を何とかしようと感じ。
    『母を殺さなければ、極楽浄土へは入れない。』と
    直ちに殺害するように命じました。

     その時、姉は母を庇おうとした様子もありました。
    兄が斧を手に脳天目掛けて母へ打ち下ろしたのです。
    私はすぐに兄に母の体を粉々に切断して、キチンと
    並べておくよう命じました。

     母を庇った姉は、命じることもないままに母の、
    あちこちへ飛んだ肉片やら、骨などを集めては、
    キチンと並べて頭から順序良く整理していました。
    夕方頃には作業が終りましたので、姉と共に伯父へ
    報告しに参りました。

     何が起きたか私にも分かりません。伯父のおかげで
    私も姉や兄も正気に戻りまして、漸く夢心地が去り、
    自分がおぞましき事を仕出かした事実に、未だに恐れ
    悪寒が止まりません。とにかくも、このような凶事を
    起こした事は事実ですので、お役人様には、何卒私を
    厳しくお仕置きの程をお願い致したく思います。」


     長男の証言。

    「弟が別人のような、畏怖する様な声で響くように、
    私と姉、そして母に言葉を掛けたとき、私共も何かに
    物の怪か何かに操られているように、錯乱しました。

     心の内では、これは何か怪しいと落ち着いた部分も
    あるにはあったのですが、弟とは思えぬ声を聞くと、
    抵抗する度には、何度も体が金縛りにあいましてから、
    次第に夢心地へ正気を奪われてしまい、母を殺して、
    遺骸を細かく鉈で切り刻みました。

     姉と弟が、出て行くと一人座っておりました。
    暫くして、伯父が呼びに来てくれたので、私も漸く
    正気を取り戻して、それから寒気が止まらないのです。
    しかし、夢心地とはいえ母を殺した事、遺骸を刻んだ
    そういった場面は、薄々に記憶がありますので、
    間違いなく私が殺害致しました。」


     長女の証言。

    「弟が異様な声ではありましたが、母を殺すように、
    命じたときには、正気である自分が残っておりました。
    母を逃がさなくてはと思いましたが……。

     そこから急激に夢心地になったような気がして、
    記憶で思い出せるのは、長男が母の遺骸を切り刻んで
    いたので、手伝わなくてはと思い、それらを集めては、
    また、より細かく千切ったりして、順序よく整理ながら
    並べました。そうして全て片付けました。

     次男に促されて、伯父の家に参る途中で段々と夢から
    醒めたような気になって怖ろしくなりました。しかし、
    同時に、物凄く後悔しました。今もしています。
    どのようなお裁きもお受け致します。

     え?悪寒ですか……?もちろん、怖ろしく薄ら寒い
    そんな気持ちはありますが、特に発熱などは無いかと。」


     この仲の良い、人付き合いも良い一家の突然の惨劇に
    里村の人々は、誰もがあの親子に限ってこんな事は全く
    考えられないし、今も信じ難いと困惑していた。

     そこで庄屋様に願い出て、親戚一同から村の有志達が
    親孝行者の姉兄弟達に対して、助命嘆願書を願いました。
    この際、庄屋様も同情して、この山に伝わる山の神の
    祟りについて証言し、村役人も協力して過去の物の怪が
    目撃された事例などを一緒に、嘆願書に込めました。


     嘆願書により、庄屋の聴き取り証言。

    「村は以前は山中の、谷々へ別れて住んでおりまして、
    それぞれの家の担当してよい、つまり薪だの山菜だのを
    採取できる分が、細かく整理されて分かれておりました。

     ですが二十数年前からでしたか、里近い場所で畑を
    使えるように、近隣の村々にお願いしましてな。
    色々と、ありましたが。徐々に一軒、二軒と山を下りて
    居を移しては、里の暮らしを始めました。

     いっぺんに引っ越した訳ではないので、山にまだ残る
    親類との付き合いもあって、山のモノ。つまり薪や柴を
    里に移った家と交換したりしながら、近隣の村の協力で
    いつしか、あの家一軒を残して、皆、里へ下りました。

     確かに山へ何軒か残った方が、割り前が多く採取でき
    その分、暮らしはマシになると考えた家もありました。
    然しながら、誰もが本心では山の神様のモノを勝手に、
    獲っていくワシらに、お怒りがあるのではと。

     祟りを畏れておったのです。誰もが、各々勝手に。

     事実、先代の頃には山中で物の怪の仕業と騒がれた、
    山の神の祟りに触れた者が、稀におったらしく、伝えに
    聞くところ、奇怪な妖怪の如きを見て発狂し、三日三晩
    高熱に苦しみ亡くなった者もおり、そうした者の家は、
    一家とも累が絶えてしまったと聞きました。

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