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シリーズ:切れ味、傷口
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切れ味、傷口

作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    意外な境界


    登録ユーザー星:6 だれでも星:1 閲覧数:704

    切れ味、傷口 474文字

     

     静かというのは無音という意味ではなくて、
    ただ、眠りに落ちるギリギリのたゆたう頃合。

     ああ、私は眠るのだ。何もかも温かい。
    この肩から胸まで袈裟懸けに斬られた傷口も。

     溢れる血に感動すら覚える。私にも沢山の、
    血が流れていたのだな。いつかは私に血より、
    ドロドロした、汚泥が流れいるのだと思って。

     いや、戯言である。ぼんやりしてきた。

     湧き出る事を兌と言うと聞き覚えているが、
    その意味は知らないのだ。兌は湧き水の如く。

     それは命の灯火だが、死にゆく血飛沫も又、
    温かいものだと思っていた。私は死ぬのだな。

     斬り込みにあった時に、我が手勢は二十数。
    階段下から駆け上がってきた、公儀の犬共は、
    僅かに四人だと思った。

     芋のような顔の巨躯の男が私を貫いた時に、
    彼の名前も素性も知らぬが、それが野獣の牙。
    その重み痛み、暖かみだけは理解したのだ。

     虎徹。命の境界。

     刀は玩具ではない。命を……。階段の境界。
    そうだった。私は死ぬのだ。この階段の上で。
    己が刀を抜く暇も無く。我が刀は泣く事なく。

     北添佶摩。その命、虎徹によるものか、
    はたまた、自害したものか。享年三十。

     ―― 本山七郎。夏を想ひて。

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