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シリーズ:禁じ手
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禁じ手

作者:ろく

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    新入社員と先輩上司。深夜の残業中、不意に現れた落とし穴・・・。


    登録ユーザー星:6 だれでも星:1 閲覧数:533

    禁じ手 2451文字

     




    座ったまま椅子のキャスターをごろごろ滑らせて、今年入った新入社員のKがデスク脇に寄って来た。

    「・・・先輩、厭だったら言ってください。すぐやめますから」
    矢庭に俺の左手をつかみ、確認するようにチラリとこちらを上目遣いに覗きこむ。
    「いいって言ってんだろ。こうも手が痛くてだるいとキーボードも打てやしねえ。何時まで残業することになるかわかんねぇぞ俺ら。マッサージでもなんでも早いとこやってくれ」
    「わかりました」
    手を預けたままパソコンのディスプレイに目を戻す。瞬間、指先に何かやわらかいものを感じた。はっとして隣を見ると、Kが俺の親指に。唇を押し付けているではないか。
    「な・・・にをしてる?」

    動転して目を丸くする俺ににっこりと微笑む。
    「効くんですよ、これが。保証します。ま、騙されたと思って。俺も腱鞘炎気味のときよくやってもらってます」
    「・・・彼女にか?」
    フッと小さく笑うと目を伏せて俺の指に唇を近づける。
     
    冗談だろう?
    こんなの聞いたことないけど?
    ・・・やっぱりからかわれているんだろうか。
    わりと素直な新人だと思ってこの半年間、親身に面倒みてやったのに。
    陰険部長の対処法から急場しのぎの言い訳パターン、人脈マップの解説に手抜きのさじ加減まで、手取り足取り教えてやった。メシも幾度となくおごった。うまい定食屋でも、おねえちゃんのいる穴場の店でも。さらに言うなら、居酒屋で泥酔した奴のタクシー代もだ。今夜の残業だってこいつの尻拭いに等しい。なのに。

    その報いがこれか。これがイマドキのワカモノ(死語)ってやつなのか。
    少なくとも数年前の俺は断じてこんな常識はずれじゃなかった。
    もう教育係なんて金輪際、引き受けるものか。

    俺の胸中を見透かしたかのようにKが顔を上げて言った。
    「からかってなんかいません。いつも世話になってる先輩の、役に少しでも立ちたいと思
    って俺は・・・でも先輩が嫌がることは絶対にしません」
    口を一文字に引き結び、真剣なまなざしで俺の目を見返す。

    あー、もう面倒くせえ。
    夜も11時をまわり、俺も多少ハイになっていたとは思う。
    「わかったよ、つづけて」
    「はい。それと、力抜いてください、先輩」
    「むぅ・・・」

    真近で見るKの伏せた睫毛の長さとニキビひとつない滑らかな肌の白さに今更のように気づく。
    女にもてるんだろうなあ、こいつ。
    しかし・・・どうにも妙なあんばいだ。
    ひたすら指の先から付け根まで小刻みに口づけながらくり返したどっていくKの唇を凝視していると、そこだけが薄いピンク色にうごめく別の生き物のように見えてくる。ふわふわとした微妙なタッチに自然と力が抜けてきた。

    彼女にいつもこんなことやらせてるんだよなこいつ。
    指先を女の口に含まれ舌に嬲られながら、ゆっくりと胸を上下させるKの姿が俺の脳裏に浮かんだ。なかば閉じた瞳はぼんやりと宙にさまよい、だらしなく開いた口から漏れる吐息が徐々に熱く――

    とたんに背筋がゾクリ、とした。
    Kの熱い鼻息が、指の股にあたるのだ。くすぐったくなって思わず手を引っ込めようとすると、意外に強い力で腕をガッチリと押さえられた。有無を言わせないその調子に、少々むっとする。
    (・・・っんだよ、ちくしょー・・・)
    すかさず手の甲のところどころを上下の唇ではさみこむように、ついばまれた。予期せぬ心地よさに不覚にも腰が浮きそうになる。

    そんな俺のようすを上目遣いに見ながら、Kが口の端でかすかに笑った。カッと頭に血が上る。

    こいつやっぱり・・・くそ、これしきのことでうろたえるものか。憚りながら学生時代、真夏炎天下の屋上で連日、団旗を支え持つこと丸半日の苦行に耐え抜いた体育会系出身の俺だ。こんないつやめていくかわからねぇ新人ボーに、ちょっと顔がよくて背が高くて要領がよくて小賢しいだけの奴に、ナメられてたまるかってんだ。

    先輩社会人として余裕をみせてやるのだ。
    「気合入れてもっとこう、ハードにやれよ、K。これがおまえの技の実力か?」
    Kの目がギラリと光った。
    「ハードに、ね。わかりました」

    どうやら俺は火に油を注いでしまったらしい。Kは赤い舌を突き出し、その先端でチロチロとくすぐるようにして俺の手の甲をなぞりはじめた。何とも言えない感触に鳥肌が立ち、不吉にも鼓動が速まっていくのがわかる。

    大きく深呼吸して息を整え、リラックス、と自分に言い聞かせた。リラックス。
    「指が震えてますよ、先輩」
    嘘をつけ、嘘を。

    ふいに人さし指をすっぽりと咥えられた。生温かい粘膜に包みこまれ、たちまちねっとりとした舌の動きに絡めとられる。
     
    心臓がドクン、とひときわ大きく高鳴った。
    無心に飴棒をねぶるこどものような表情で吸い付いたり、しゃぶったりをくり返したあと、Kがてらてら光る唇で言った。

    「俺のこと、要領いいだけの軟弱なヘナチョコ野郎だと思ってるんでしょ? 顔に書いてありますよ。でも手伝えることだってあるんだぜ」
    Kは再び指を口に含むと、すぼめた唇でゆっくりと上下に扱くようにした。見上げる視線が、俺の目を捉えてはなさない。その動きに合わせて自分の呼吸が次第に荒く乱れていくのを、もはや認めないわけにはいかなかった。

    指先から湧き上がる鈍い痛みにも似たむずがゆい快さに、抗いながらも、身体中がが浸されていく感じ・・・喉がゴクリと厭な音をたてる。耐え切れずに俺は目を閉じた。
    「うっ・・・」

    いきなり指の腹の上、軽く噛むように歯を立てられた刹那、背骨から脳天にかけて甘い痺れがピリピリと突き抜けていった。思わず呻いてしまった自分を殴りつけたいほど恥じる。顔に熱い血がざあっと集まり、
    開いた目の前が真っ赤に染まって見えた。
    「すごく感じやすいんですね」
    喉の奥でクックッと笑いながらKが耳もとで囁く。
    「おまえ――」
    「俺は先輩の役に立ちたいだけですよ。厭ならやめます」

    ・・・わかったよ。こんなやり方でしかアピールできない奴を、鍛えるのもきっと俺の役目なのだろう。だがその前に。俺は細かく震える腕を差し出した。

    「・・・右手もよろしく」
    Kが満足そうに微笑んだ。

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    コメント

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      うわあ、色っぽい!!( *´艸`) 後輩のKくん、小悪魔というより確信犯ではないですか!二人の関係は発展するのかな~~。気になります。
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    • コメントありがとうございます。
      いや、もうそれだけエロを受け止めてもらったら思い残すことはない、本望です。直接話法より間接表現のほうが淫靡さが増すようです。Kのような奴が後輩だったら嫌ですね…
      • 2 fav

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    • ふううううう!
      ああ、コメント失礼します。いやはやこれはほんとに…大好きです。こういう話どんどん下さい。素敵な作品ありがとうございます。
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    • おつかれさまです(笑)。
      何事もオーバーヒートしすぎぬよう、おのれのペースでいきたいものですね。
      コメントをありがとうございました。
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    • いやあスケベですねえ。笑えました。
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    • ありがとうございます。何よりです。
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    作者紹介

    • ろく
    • 作品投稿数:70  累計獲得星数:449
    • お読みいただき★をつけてくださった方、ありがとうございます。


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